東北支部                         2019/10/1    舘野貞男  発 信
                        長年の夢  劔岳登頂

  東北支部の舘野貞男といいます。昭和51年同期入社の皆さんお元気ですか、定年退職してから山に登りたいと思い、
  
  登山教室に通いました。毎年3,000m峰を目指し、立山、槍ヶ岳、奥穂高岳、そして今年は8月に訓練を兼ねて
  
  富士山に登りました。そしていよいよ長年の夢であった北アルプスの劔岳に9月に挑戦しました。
  
   劔岳は「岩と雪の殿堂」と讃えられ、林立する岩峰群と豊富な残雪が見られ、また明治期までその鋭さの為、唯一
  
  残された未踏峰と考えられてきました。そのため登山者憧れの山であり、多くの犠牲者を出している大変危険な山です。
  
   劔岳には14か所の鎖場と長い梯子があり、険しい為交差が難しく、登りと下りが複雑に交わり、下山道でも何度も
  
  登り返す所があり、疲労度が増す難しい山です。
  
   9月17日、団地内の山仲間三人で徹夜で運転し、立山・黒部アルペンルートを通り室堂に翌朝9時に着きました。
  
  外は横殴りの雨でしたが、厳しい山道を通り6時間をかけ目的の剣山荘に着きました。いよいよ19日本番当日小屋を
  
  朝6時に出発した。
  
   ザレ場を一時間程登りますが劔岳は見えません、手前に一服劔と前劔が立ち塞がりこの2つの急峻な峰を乗り
  
  越えてようやく劔岳が姿を現しました。数か所の鎖場を乗り越え登りの核心部である「カニのたてばえ」に着きました。
  
  ここは20mの垂直に近い壁を1本の鎖を頼りに、3点指示で確実にそして慎重に登る難所です。下は数百mの崖で
  
  落ちたら命は有りません。しかし長年憧れていた劔の核心部を登っている高揚感の為か不思議に恐怖感は沸かず、
  
  確実に登ることが出来ました。
  
   ここを過ぎると両側が切れ落ちた狭い尾根を通りようやく頂上です。時刻は11時、5時間の厳しい登りでした。
  
  劔岳2999mの山頂は360度の大展望で広い雲海の中に劔岳が浮かび上がり、素晴らしい景色です。一角には
  
  須佐男尊を祭った祠があります。30分程休憩し昼食を食べました。
  
   劔岳の難しさはこれからの下りです、事故は登りより下りで多く発生しており気を許せない緊張の連続の時間が
  
  まだ続きます。下りの核心部は「カニのたてばえ」部です。せり出した岩に1本の鎖が10m程真横に渡してあり、
  
  足元は見えず、わずかな溝に登山靴のつま先の感触を頼りに渡ります。ここを過ぎると急傾斜の鎖場と小石と砂の

  混じったザレ場があり、転倒して滑り落ちないように降下してゆきます。下ること四時間ようやく山小屋に到着しました。
  
  三人の仲間と無事に下山することが出来、喜びでお互いの手を握り合いました。
  
  それから山小屋にて祝杯を上げ、ひと際美味しいビールの味を堪能しました。

                                  
  
               

             
             
    
   

 

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